人間に必要な知識・能力をAIと比べてみた
抽象度の高い思考、無意識の活用、ゲシュタルトの構築、目標の設定と認識
あなたは「点」をどのように考えますか?
線と線の交点、もしくは円の中心?。
でも、それって存在しますか?
線には面積がないので点にも面積はありません。
取り出して見せろと言われても、見せることはできませんよね。
点を説明するにしても、点以外のもので説明するしかありません。
では、あなた自身を説明するには?
両親が誰で、兄弟は誰で、生まれた土地はどこで、その土地は東京の街で、東京は日本にある都市で・・・・。
詳細に説明すればするほど、あなた自身と関係が薄くなっていきます。
「点」と「自分」って何か似ていますね。同じかもしれません。
「点」を無意識に考えさせる
「点」を無意識に考えさせたら、次のようなものが浮かんできました。
自分自身は点のようなもので、自分を説明するのに自分以外のものでしか説明できない。
つまり「自分」とは自分以外のものとの関係でしか存在しない。
これをお釈迦様は「縁起」と言っていて彼が悟ったこと。
後に「空」という概念が生まれる。
「空」とは「有と無」を包摂する概念。
抽象度が一番高い概念で「有と無」を同時に持っている。
これは量子論と同じ概念で、この考えがなければこの世の多くのものは動かない。
だから物理学者たちが仏教に興味をもち出した。
点と線、自分、縁起、空、量子論、物理学者、そして仏教へとつながりました。
これは、私の無意識が構築したゲシュタルトです。
さて、この時私の頭の中では何が行われていたのでしょうか。
この時の私の感覚としては閃いたという感覚です。
一瞬にしてゲシュタルトが構築されました。
論理立てて道筋をつけていくという感じではありません。
上の説明では、文章にする都合上順序立てて説明するしかありませんが、これは一瞬にして構築されました。
構築されたゲシュタルトは「空」と「縁起」です。
「空」と「縁起」により「点」から「仏教」までつながりました。
人間は無意識下に膨大な情報をほぼ並列に入力します。
五感だけではなく、本人が自覚していないものを含めて入力します。
入力された情報はランダムに格納されますが、無意識は勝手に情報を統合しようとします。
統合されるものがゲシュタルトで、その瞬間あなたの意識は閃いたと感じます。
AIは閃かない
ゲシュタルトとは、一見バラバラのものを、ひとまとまりとして捉えられるものです。
人間はゲシュタルトの構築を無意識下で効果的に行います。
しかも、自動的に勝手に行います。
だから人間は閃くのです。
ある問題の解決に行き詰まっても、トイレや風呂に入っている時に閃いたりします。
無意識はリラックスしている時ほどよく働いてくれるからです。
AIは、このようにはゲシュタルトを構築することができません。
ゲシュタルトを構築することは世界や系を決めることです。
あるルールや重要なものを自分で決められるということです。
AIは自分自身で世界や系を決めることが出来ないので、永遠に最適解を求め続けます。
いわゆるフレーム問題ですね。
だから、AIは閃くことがないのです。
AIは原因と結果の関係を間違っている
しかも、最適解とは過去の最適化です。
過去から現在までの正解とされるものです。
AIは、過去から現在までをどのようなものであるかを認識してから、未来である目標(結果)を決めます。
「現状の延長線上に未来がある」と考えるということです。
人間は逆です。
目標があるから認識します。
ベンツの購入しようとする目標があるから、街中にベンツがたくさん走っていると認識しますし、目標を設定するからやり方を認識します。
つまり、AIは原因と結果の関係を間違えているのです。
過去に原因があり未来に結果があると考えてしまっています。
もしかしたら多くの人がそう思っているかもしれません。
逆なのです。
未来に原因があり過去が結果なのです。
もし、過去に原因があるとしたら、未来はすでに決定されてしまっていることになります。
「目標=原因・未来」を設定するから、「認識=結果・過去(現在は未来から見れば過去)」が生まれるのです。
未来が現在の行動を規程するということです。
つまり、未来が未来より過去の行動の意味を決めます。
AIはこの概念が間違っているので、全く新しい世界や全く新しいものに関してあまり効果的ではないのです。
人間の強み
AIが過去の最適化や現状の世界の中では素晴らしい力を発揮するでしょう。
では、人間はどこでその能力を発揮すれば良いでしょう。
それは、現状の世界の外側や過去に囚われることのない未来に関することではないでしょうか。
そのためには、これまでの世界を抽象度・次元をあげて理解することが必要です。
つまり、AIよりひとつ二つ抽象度・次元の高い思考をするということです。
限られた世界(現状)ではAIに活躍してもらい、限られた世界の外側(現状の外側)で人間が活躍するのです。
「今までにない」「全く新しい」「素晴らしい未来」に関して人間が活躍すればいいのです。
抽象度の高い思考と無意識の活用、ゲシュタルトの構築、そして目標の設定と認識。
このあたりの能力が、「人間がAIに負けない」そして「必要な知識・能力」ではないでしょうか。
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